2024年5月アーカイブ

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膝の変形性関節症は痛みの程度や関節の変形程度、画像診断などによりどの治療法を選ぶかを患者様と相談しながら決めていきます。
痛みを緩和する保存療法、骨切りや人工関節などの手術療法、そして前回お話しした再生医療です。
いずれも、治療をしたから終わりではなく、その後どう過ごすかが大切です。
今回は、再発を防ぐために必要なリハビリ、セルフマネジメントについて松﨑医師が解説します。
 

手術や再生医療を受けた後のリハビリテーションが大切

膝の変形が強く、これまでいろいろな治療法を試しても改善されなかった方にとって人工関節置換術はとても有効な治療法です。
また、PRP療法や幹細胞を用いた再生医療も患者様への負担が少なく症状を改善できる治療法として今後さらに期待されるでしょう。
根本的な治療法がないといわれてきた膝の変形性関節症ですが、膝の痛みを長期的に改善することが可能になってきているのです。
しかし、治療を受けたからといって安心はできません。施術前と同じような生活をしていては、再発の恐れがあるからです。まずはすぐにリハビリテーションをはじめ、膝関節を動かしていきましょう。
手術をした場合と、再生医療を受けた場合でのリハビリテーションについて簡単に説明します。
 

人工関節など手術をした場合

切開を伴う手術の直後は痛みのコントロールを行います。創部のアイシングや足を上げることで痛みや腫れを軽減させることができます。
早い段階で膝関節を動かすことが大切なので、膝の曲げ伸ばしの練習をはじめます。手術の合併症である血栓の形成を予防するためにも、翌日には歩行訓練を開始。
痛みが落ち着いてくる1~2週間後からは、筋力訓練を中心に行います。徐々に歩行器や杖がなくても歩けるようにしていくのです。筋力増強、可動域訓練などを行い、日常生活が送れるようにします。
元の生活に戻れるまで通常3~6カ月かかりますが、高齢者の場合はさらに時間を要するでしょう。
 

再生医療の場合

PRP療法、幹細胞による再生医療でも投与した当日から軽い運動をはじめます。幹細胞に運動刺激を与えることで、治療効果が上がるといわれているからです。
投与直後、もしくは1週間以内に膝関節が腫れることもありますが、手術ほど強い痛みがないため膝を動かすこともそれほど困難なことではないでしょう。
膝を支える筋力をつけるための運動なので、翌日からも継続して行ってください。
再生医療の場合、翌日から通常の生活が送れますしスポーツもできます。
 

強い痛みを伴うリハビリは避ける

術後は多少の痛みを我慢したうえで、膝の曲げ伸ばしや歩行訓練を行わないといけない場合もあります。しかし、強い痛みが続く、リハビリの翌日にも痛みを感じるようであれば適したリハビリ(運動)ではなかったので、見直す必要があります。医師や理学療法士に痛みがあることを伝えましょう。
以下は避けたほうがいい動きです。
・凹凸のある道でのランニング
・強い衝撃のあるコンタクトスポーツ
・正座などの深屈曲動作
・重いものを持ち上げる
 
 

再発を防ぐためにはセルフマネジメントを

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Vol.2で膝や腰の痛みを軽減するために心がけたいことをお話ししました。保存療法について解説したVol.5のなかでも、セルフマネジメントの大切さをお伝えしました。これらは治療後にも当てはまることばかりです。
特に、体重管理と筋力強化は必須事項。リハビリで行った運動を習慣にし、体重が増えないようにコントロールをしましょう。
 

適度な運動をして体重を増やさない

体重が1㎏増えると、膝への負担は3~4㎏増えるといわれています。手術をしても幹細胞を投与しても、膝への負担が増えれば再発の恐れがあるので、体重管理がとても大切です。関節を守るためにも筋力をつけることは欠かせません。筋力トレーニングをすることは、体重管理にもつながりますので、適度な運動を習慣にしましょう。
65歳以上の高齢者の場合、1日6000歩を目安に歩き、週2回以上の筋トレを行い、週3日以上ストレッチやラジオ体操などを行うのが理想とされています。
 

高齢者が運動をするときに気をつけたいこと

新しく運動をはじめるときには、運動をすることで影響のある内科疾患がないか、筋力や神経機能はどれくらい耐久性があるかを医療機関で診てもらうことが必要です。健康状態や運動能力を総合的に評価し、理学療法士とともに運動計画を立てていきます。
 
高齢者は転倒リスクがあるため、運動をするときは安全な環境を作ることが大切です。電気コードなどつまずきやすい物は片付けておきましょう。また、滑らないようにストレッチ用のマットを使うこともおすすめです。
高齢になると喉の渇きに気づきにくくなります。こまめに水分補給をして脱水症状を起こさないように注意をしてください。特に夏は涼しい場所で運動を行いましょう。
自分の体が発するシグナルに耳を傾け、不快感、痛みがある場合はすぐに中止をして休息をとってください。痛みが続く場合は医療機関を受診してください。
 
病院やクリニックでは、リハビリのなかで理学療法士が痛みを軽減する歩き方や、エクササイズの正しい方法など指導をします。不安なこと、気になることがあればぜひ相談をしてください。
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これまで変形性膝関節症の症状や治療についてお話をしてきました。
膝の痛みを抱えて受診される患者様は、さまざまな治療法を試しても痛みの改善に至らず、繰り返している方が大半です。完治をする決定的な治療法が確立されていないのが現実です。「膝関節症はクリニックでは治らない!?」など耳にされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのなかで、近年、新たな治療法が生まれました。それが再生医療です。保存療法か手術かの2択ではなく、その間をつなぐ治療法として注目されています。
今回は、変形性膝関節症における再生医療について松﨑医師が解説します。
 

本ブログの要約

変形性膝関節症の治療には、保存療法と手術の間を埋める新たな選択肢として再生医療が注目されています。再生医療には、自己血液を利用するPRP療法と、脂肪由来の幹細胞を用いる幹細胞治療があります。これらの治療法は、患者自身の細胞を使用するため、拒絶反応がなく、体への負担が少ないのが特徴です。特に幹細胞治療は、患部を切開せずに注射で投与でき、日常生活を続けながら治療が可能です。ただし、自由診療であるため費用がかかる点や、効果には個人差がある点には注意が必要です。
 

変形性膝関節症に対応する再生医療とは

再生医療は、これまで治りにくいとされていた病気に対し、自らの細胞を培養して治療に用いる方法です。私たちの体にある血液や間葉系幹細胞が原料になるので、体への負担が少なく、拒絶反応もないまま症状の改善が期待できるのです。
変形性膝関節症では、主にPRP療法(多血小板血漿療法)と幹細胞治療が行われています。それぞれについて簡単に説明しましょう。
 

自分の血液を利用するPRP療法

スポーツ選手のケガに対してPRP療法を用いたというニュースを耳にする機会が増えました。このPRP療法とは、患者様の血液を遠心分離機にかけ、血小板成分を濃縮し、抽出して得られた多血小板血漿を注射で投与する治療法です。
血小板には、傷ができたときに治す働きがあり、組織の修復を促す成長因子を含んでいるため、炎症を抑えることで膝関節内の痛みを和らげると考えられています。
採血をして遠心分離機にかけ、血小板を抽出する時間は30分程度なので、当日に施術が可能です。
 

さまざまな細胞に変化する力を生かした幹細胞治療

私たちの体をつくっているのは細胞です。その細胞のなかには決まった役割を持たず、さまざまな細胞に変化するものがあります。その細胞を「幹細胞」と言います。条件次第で神経、筋肉、脂肪、骨などに分化することができ、骨髄内や脂肪内に存在します。
脂肪は皮膚表面のすぐ下に存在するので採取しやすいため、脂肪由来の幹細胞が再生医療の主流となっています。
採取した脂肪から幹細胞を分離して培養し、注射で患部に投与します。損傷部位の周辺組織にある細胞に働きかけて骨膜や骨内の炎症を抑え、組織の修復を促します。
当クリニックでも、脂肪由来の幹細胞を用いた治療を行っています。
 

変形性膝関節症におけるメリット・デメリット

これまで変形性膝関節症の治療といえば、体重管理やヒアルロン酸注入などの痛みを軽減する保存療法がメインでした。保存療法の効果を十分に得られなかった方は、手術しか選択肢がなかったのですが、切らずに治療ができると注目されるようになったのが再生医療です。
従来の治療法との大きな違いは、自分の細胞にある自然治癒力を損傷部位へ直接投与でき、長期間にわたって維持ができるという点です。
メリットのほうが大きいのですが、どんな治療法においてもリスクやデメリットはつきものです。当クリニックで行っている脂肪由来幹細胞での治療を例に、メリット、デメリットについてお話しします。
 

手術より体への負担が少ない

幹細胞治療は、注射で投与するので患部を切ることはありません。その前に、必要な脂肪組織を採取するのですが、当クリニックではおへその近くを3㎜ほど切開し、特殊な生検針を使用して行います。採取する脂肪の量は0.2g程度と少量。切開する時は局所麻酔をしますので、痛みはほぼありません。縫合が不要で、傷痕はほとんど目立たなくなります。
 

トータルの治療期間が短い

幹細胞治療は入院の必要はありませんが、脂肪採取後に培養期間が約4週間かかります。しかし、細胞投与後は普通の生活が送れるので、会社を長期休む必要がありません。投与後数日患部の腫れや痛みが出る患者様もいらっしゃいますが、特に行動制限もありません。
人工関節の手術は、2週間程度の入院と数カ月のリハビリが必要になるため、仕事をしている方や高齢者は決断しにくいという声も耳にします。すぐに社会復帰したい方にとっては、再生医療はメリットが大きいといえるでしょう。
もちろん、幹細胞治療を行っても定期的な検診は必要ですし、再発防止のために継続してリハビリも行っていただきます。
 

自由診療のためコストがかかる

手術は保険診療なので、人工関節なら3割負担で60~80万円。高額医療費制度を使えば、一定額以上は支払いせずにすみます。
再生医療の大半は保険診療ではありません。幹細胞治療の場合、60~350万円といわれています。幅が大きく開いていますが、100~150万円が相場のようです。クリニックによって治療費は異なるため、初回のカウンセリングで価格は必ず聞いておいたほうがいいですね。
自己負担になるため、費用の面で決断できないという方もいらっしゃいます。まずは、クリニックで相談をしてみましょう。
ちなみに、当クリニックのカウンセリングは無料で行っております。また、クリニック内で幹細胞の培養を行い、管理しているのでコストを抑えることが可能です。費用面だけでなく、フレッシュな状態の幹細胞を投与できるのが利点です。
 

一時的な改善ではなく持続が期待できる

保存療法のひとつ、ヒアルロン酸注入は一時的に痛みを緩和するものなので、2~3週間で痛みがぶり返してきます。繰り返し投与していると効果を感じにくくなりますし、神経損傷などのリスクも生じます。初期には有効な手段ですが、持続性はのぞめません。
 
幹細胞治療は患部に直接投与するので、15分ほどで傷の修復をし始めます。修復には3カ月ほどかかりますが、痛みは2~3日で引いてきます。損傷の度合いにもよりますが、長期的な効果の持続と症状の進行を遅らせることが期待できます。
 
 
保存療法では痛みの改善が見られなかったけれど、手術は入院期間や体への負担を考えると躊躇してしまう。持病を抱えている、体力が低下してきている高齢者だけでなく、仕事をしている中高年にとっても再生医療は負担が少なく、痛みを軽減できる有効な手段なのです。ひとつの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
 
<記事更新:2025年01月09日>
 
 

FAQ

Q1:再生医療による膝の治療は痛みを伴いますか? 

A1:脂肪採取時には局所麻酔を施し、切開は3mm程度で痛みはほとんどありません。治療後に一時的な腫れや痛みを感じる場合もありますが、通常は数日で治まります。
 

Q1:再生医療の効果はどのくらい持続しますか?

A2:個人差がありますが、幹細胞治療は長期的な効果の持続と症状の進行を遅らせることが期待されています。一方、PRP療法は一時的な痛みの軽減に有効とされています。
 

Q1:再生医療の費用はどのくらいかかりますか?

A3:再生医療は自由診療であり、治療内容やクリニックによって費用は異なります。一般的に幹細胞治療は100~150万円が相場とされています。詳細な費用については、各クリニックでのカウンセリング時に確認することをおすすめします。

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