2016年11月アーカイブ

肌の再生医療といえば、以前のブログでも紹介しましたが、もっとも歴史が古いのは培養表皮です。培養表皮は肌の表面に張り付いている表皮細胞を培養したもので、重傷熱傷の救命処置の治療に革新をもたらしました。
 
一方で表皮の深層には「真皮」や「皮下脂肪層」があります。「真皮」の主成分はコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどのマトリックスと呼ばれるタンパク質であり、これらは真皮内に存在する線維芽細胞によって日々産生されています。「皮下脂肪層」は文字通り脂肪が主体で、脂肪由来幹細胞が維持していると考えられます。線維芽細胞は加齢とともに減少し、マトリックスを産生する能力も次第に衰えてゆきます。また皮下脂肪の量は皮膚の弾力性に大きな影響を与えます。「しわ」や「たるみ」は真皮マトリックスの加齢による減少、皮下脂肪の萎縮が目に見えるようになったものです。
 
近年になって肌の再生医療の目的で、マトリックス(コラーゲン・ヒアルロン酸)そのものをフィラーとして注入したり、PRPをサイトカイン補充のために注入したり、線維芽細胞や脂肪由来幹細胞を培養して注入したりする治療が行われるようになってきました。コラーゲンは1980年代に注入剤としてFDA承認となり、美容用ヒアルロン酸製剤の注入は1996年にEUで承認されました。培養線維芽細胞による臨床応用は2000年ごろから行われ、最初の第3相試験(効果と安全性を確かめる厳密な臨床試験)は2007年に行われ、安全性と有効性が確認されています。
 
脂肪由来幹細胞の注入による肌再生医療(真皮の再生医療)については、長らく大きな期待がもたれてきました。臨床応用はほかの治療より少しだけ歴史が新しく、最初の報告は2008年頃になされています。その後、世界中の医療研究機関で散発的に臨床試験が実施されてきました.2015年には比較的多数の患者を対象とした臨床試験が行われ、エラスチン前駆体の増加による優れたアンチエイジング効果が証明されました。再生医療等安全確保法が施行された日本では、世界に先駆けて脂肪由来幹細胞による肌の再生医療を安全に受けることができます。アヴェニューセルクリニックでも皮膚に対する培養脂肪由来幹細胞注射(第2種再生医療)の提供計画を承認されていますので、希望される方はご相談ください。
 
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リンパ浮腫に対して就寝中も圧迫するように指導されている方もいらっしゃると思います。通常のストッキング・スリーブでもよいのですが、就寝の際には快適性は今ひとつという方もいらっしゃいます。そんなご要望に対して、当院では、快適な夜用のサポーターをご紹介しておりますのでご検討ください。
 
この商品(「トリビュート」)はアメリカ製で、キルティングされたパットのような構造になっており、中に仕込まれたらせん状のゴムで食い込まずに適度に患肢を圧迫してくれます。(例えるなら引越の際に家具を包むのに使っているアレのようです。)圧迫力は30mmHg相当になります。その割に装着感は至って柔らかく暖かく感じます。これからの寒い時期にはちょうどよいかもしれません。
 
IMG_8115.JPG トリビュートスリーブ.jpg
 
ご希望の方はあらかじめご予約の際にお申込みください。業者さんが採寸出張してくれます。

 

スポーツ外傷、スポーツ障害に対する再生治療といえば、よく知られているものとしてPRP(platelet-rich plasma=多血小板血漿)療法があります。血小板を濃縮し、血小板に豊富に含まれている成長因子を患部に注射するものです。2014年にヤンキースの田中将大投手が肘の故障に対して注射して手術を回避し、翌シーズンに見事カムバックしたことで一躍有名となりました。
 
当院では関節のスポーツ障害に対して、このPRP療法ではなく、培養した脂肪由来幹細胞の注入を行っています。PRPには生きた細胞は含まれていませんが、当院の脂肪由来幹細胞は生きた幹細胞です。注射後は患部に生着して成長因子を放出し、炎症を沈静化し、組織の修復を促進します。PRPは注射後に代謝されると効果が消失するのに対して、脂肪由来幹細胞は一度生着すると効果を発揮し続けると考えられます。
 
今回の患者さんはプロの競輪選手です。落車(転倒)による左肩と腰部を負傷し、足関節も痛めてしまいました。受傷後3ヶ月以上経過しているにもかかわらず、完全に痛みがとれません。ハンドルを強く引けない、押せない、左ペダルを強く踏めないなどの影響があり、乗車時のバランスを大きく崩しているそうです。やむなくレースに復帰しましたが、本来のパフォーマンスにはほど遠いようです。
 
左肩MRIでは腱板疎部および上腕二頭筋長頭に液体貯留を認めます。肩関節周囲炎の症状です。左足関節MRIでは直径 3 mmの遊離骨およびインピンジメント(腫れた組織が関節面に挟み込まれて痛む現象)を認めます。
 
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レースに出場しながらの治療を希望されましたので、脂肪由来幹細胞による治療を行うこととしました。9月末に臍のよこから米粒大の脂肪を採取し、培養を開始しました。約3週間の培養後に一時凍結し、レースとトレーニングのスケジュールに合わせて細胞を解凍、11月始めに注射となりました。
 
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スポーツドクター(寺尾医師)が診察をおこない、注射部位を確認、各部位に約4000万個の脂肪由来幹細胞を注入しました。
 
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治療は5分で終了、術後リハビリテーションの説明を受けて帰宅となりました。
結果については後日ご報告したいと思いますが、早ければ1週間程度で痛みが軽減されることでしょう。

 

4月の開院から6ヶ月が経過しました。10月末までに当クリニックで実施しましたリンパ管静脈吻合術(LVA)の症例数および合併症をお示しします。
 
下肢リンパ浮腫の場合、半数程度の方が、上肢リンパ浮腫では7割の方がリンパ管静脈吻合術(LVA)を行ないました。進行度を考慮しますと、必ずしも全員が手術適応とはなりません。また日帰り手術ですので、安全にご帰宅いただけるかも考慮されます。すでに来院された患者様で11月以降に手術を予定している方がいますので、手術適応になる方は実際にはもう少し多くなると思います。
 
一方、術後合併症はとても少なく、日帰り手術でもリンパ管静脈吻合術を安全にできることが分かります。基本的に日常生活に制限はありません。多少動いたからといって、大出血したりすることはありません。

なお、減量効果を含めた詳しい結果については6ヶ月経過したのちに公表する予定です。

 

来院数と手術数

  ご来院数

リンパ管

静脈吻合術

 浮腫を主訴とする患者様(4-10月) 75 28
部位  上肢リンパ浮腫 10 7
 下肢リンパ浮腫 42 21

 その他浮腫

23 0

 

術後合併症

 総数(全28例中) 1
詳細  緊急入院 0
 リンパ漏(持続的なもの) 0
 術後出血(止血が必要なもの) 0
 しびれ(持続的なもの) 0
 蜂窩織炎 0
 創離解 1

創離解は2mm程度、保存的に軽快

 

☆ 当院は、日本初のリンパ浮腫手術の専門クリニックです(未確認ですが世界初かもしれません)。また、日本初の「日帰りリンパ管静脈吻合術(LVA)」専門のクリニックでもあります。当然ですが、日帰りのリンパ管静脈吻合術(LVA)に力をいれています。詳しくは手術のページをご覧下さい。

 

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