2021年10月アーカイブ

秋の風が徐々に広がり、今年の暑い夏が過ぎてゆきます。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 

本日はリンパ系の新しい内服薬とその歴史に触れたいと思います。

 

リンパ管の病気、というと私たちが普段治療をしています、リンパ浮腫が最も多いのですが、実はそれだけではありません。

 

リンパ管自体がぷくぷくと袋のようになってしまうリンパ管奇形(リンパ管腫とも言います)やリンパ液が皮膚以外の異常な場所に溜まってしまう胸水や腹水の一部(乳び胸などとも言います)、など様々です。こちらの方が患者さんの数は少ないのですが、実は命に関わることが多かったり、顔や首など人目につきやすい場所に出来やすいことから、しっかりと治療する必要のある病気です。重症な方をはじめとしてなかなかに難しく、難渋することが少なくありません。

 

そんななか、近年注目されている内服薬があります。シロリムス(一般名:ラパマイシン)です。この薬は免疫抑制剤として使用されてきた薬ですが、大きなリンパの袋が小さくなったり、リンパ液がジャジャ漏れになっている状態を飲み薬で改善できると期待されているのです。

 

 

ではこの薬、どうして効くのでしょうか。細かいことを話し出すと止まらなくなりそうなので、端的にまとめます。

皆さんの体の中で今日もリンパ管の細胞は作られています。これを作ってください!という指令の伝達は小さなタンパク質が担います。いろんな指令があるなかで、特に「リンパ作りなさい」指令の中でも特に有名なmTOR系をストップさせる(阻害する)ことで指令が届かないようにする。そうすると新しいリンパ管は作られにくくなります。つまり、リンパ管内皮細胞の新生が抑制されることになるわけです。大きなリンパの袋やリンパ液が漏れ出る状態は、リンパ管内皮細胞が活発に作成されていることもあり、この薬が効く というわけです。

 

欧米を中心に有効性がたくさん報告されていて、日本でも治験で有効なことが確認されています。つい最近、2021年9月27日付で世界初の承認(疾患に対する追加承認)を得ました。岐阜大学の小関先生はじめ、関わった先生方の努力の結晶と思います。

 

だいぶ前になりますが、「医龍3」というドラマで、内科vs外科という構図が好きでした。だんだんと外科の手術が内科治療に置き換わり、どうする外科?という内容でしたが、まだ駆け出しだった私はストーリーの展開を楽しみにしていたのを思い出します。実際に現場に立つと内科だけ 外科だけ でうまくいかないことも多々あり、内科・外科が実際には協力していくことが多いと痛感しています。そしてその一つである内服薬の保険承認は、困っている方々に多く届けられる可能性が高く、私も期待しているところです。

 

このシロリムス、どうやって発見されたか、など大変面白いので、その話は次回以降に。。

 

ではまた!

 

(加藤基)

 

参考資料

 

ノーベルファーマ株式会社 添付文書

https://www.nobelpharma.co.jp/_cms/wp-content/uploads/2021/09/232a5b1e412bea3060dabb6600ae3406-1.pdf

 

残暑、なのでしょうか。まだ暑い日もちらほら。朝晩涼しい日もだいぶ増えましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 

コロナによる緊急事態宣言が解除され、強制通勤などのワードも聞かれるようになりました。私ども医療系は直接患者様に触れることが多く、オンライン化の波があると言っても、まだまだ顔を合わせて行うことが主流です。

 

一方で、私たち医療者は年に数回〜多い先生だと毎月!くらい学会に参加しています。この学会参加の形は、少しずつ様変わりしてきていることを感じています。

 

みなさま、学会って、どんなものと想像されていますか?

専門家たちの熱い議論の場?

はたまた、医者の道楽??

 

様々な捉え方ができると思いますが、交流の場であることは間違いありません。

 

もちろん、学術集会などでは学術的な議論を行うことが主たる目的ですから、講演会や発表による専門知識が披露されます。質疑応答による専門家の意見も聞けます。また、時々特別講演として有名な先生や、他の専門の方(有名な音楽家やスポーツ選手など)が登壇することもあります。もちろんランダムではなく、学会の主旨であるテーマに沿った内容で構成されるのですが、不肖 主催したことなどもちろんありませんので、どのように決定されているのかわかりません。主旨に沿っていれば、芸人さんなどを呼んできても良いのかもしれませんが、そのような学会は見たことがありません。そう言えば学生時代に大学祭を主催した際に芸人さんに来てもらったことは、楽しい思い出でした。

 

さて、少し脱線しましたが、話を戻しましょう。この学会、主な目的は専門家たちによる議論、専門家になろうとしている先生たちの勉強の場ですが、近年急速にオンライン化が進んでいます。コロナ前には、学会参加=出張 でしたが、最近は学会参加=在宅勤務くらいの違いです。オンラインで発表中には顔が見えますが、いわゆるオフの話がしづらい状況です。もちろん学会サービスの中で雑談部屋のようなスペースが確保されていることもありますが、私自身あまり使ったことがありません。今をときめく5Gに対応できていない私は、是非とも詳しい方にオンラインを使った学会での交流の仕方を教えて欲しいと思う次第です。

 

そういうわけで、専門家同士の交流が以前よりも減った気がします。付き合いの飲み会が減ったり、顔を合わせて近況報告しあったり、ウェットな人間関係がモチベーションを上げることもあったのになあと少し寂しく思う反面、新しい時代の到来を感じます。

 

何かが減れば、何かが増えるのでしょう。古くて良いものもあれば、新しくて良いものもある。確かに、海外の学会には参加しやすくなりました。時差の問題があるので夜中の開催は当たり前ですが、その分 出張による日常業務に穴を開けることは減りました。

 

終着のない話ですが、変化の流れに身をまかせ、徒然なるままにということで。

 

ではまた!

 

(加藤基)

このアーカイブについて

このページには、2021年10月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2021年9月です。

次のアーカイブは2021年11月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。