2023年6月アーカイブ

こんにちは、アヴェニューセルクリニック院長の井上啓太(いのうえけいた)です。

今回は前回に引き続き、お茶の水セルクリニックの寺尾先生と対談をさせていただきます。

このブログは後編になりますので、前編をお読みでない方はこちらからご覧ください。

お茶の水セルクリニックの寺尾先生と対談(前半)

 

身体的フレイルに対する幹細胞治療とは?

 

井上医師

最後3つ目がフレイルですが、点滴の対象疾患ということでご説明をいただけますでしょうか?

 

寺尾医師

フレイルは“介護の一歩手前の状態”“健康と介護の間の状態”という表現の仕方をされることが多いです。

本来、フレイルは、身体的フレイルや社会的フレイルなど色々な種類のフレイルがあります。

その中で当院では身体的フレイルに対して幹細胞治療を行っています。

 

年齢に伴う筋力低下.png

 

井上医師

「フレイルとは何ですか?」とよく患者さんに聞かれますが、寺尾先生はどの様に説明していますか?

 

寺尾医師

年齢に伴う筋力低下”や“関節が硬くなる”など、だんだん体の機能が落ちはじめている状態とお伝えしています。

 

井上医師

フレイルというのは英語で“グラグラする”という様な意味に近いですね。

ただ日本語では人に対してグラグラと言わないので「ヨボヨボになる」と表現すると近いかなと思います。

 

寺尾医師

その言葉の方が確かに分かりやすいかもしれないですね。

フレイルの定義としては

1)体重減少

2)疲労感

3)活動量低下

4)緩慢さ(歩行速度低下)

5)虚弱(握力低下)

などいくつか指標があります。

 

ただ内科の病気の様に血液検査をして、この数値だからこの病気に当てはまりますという事はしません。

上記のいくつ当てはまったので「フレイルの状態では?」と診断します。

 

フレイルという状態.png

 

井上医師

幹細胞の点滴は、フレイルに対して効果はありますか?

 

寺尾医師

以前、身体的フレイルの研究をしていた先生がいました。

動物実験で幹細胞を点滴して運動をさせると、筋肉のつき方が良くなったそうです。

もちろん動物と同じようにうまくいくかどうかは考えるところもありますが、弱った筋肉に対しては効果があると考えられます。

 

筋肉も効率よくつく.png

 

井上医師

身体的フレイルに臨床試験もいくつか行われていて、幹細胞を点滴すると介護のリスクが下がるというエビデンスは出てきてますよね。

 

寺尾医師

動物実験では、投与と同時に運動負荷をかけると筋肉が発達した様です。

筋肉は運動しない限り絶対に付きませんので、体の条件を整えた上でトレーニングで筋肉を動かしていく事が大事です。

ただ身体的フレイルの状態になると、頑張ってトレーニングをしても筋肉が付かない事が多いです。

そこで幹細胞でアシストしてあげて、トレーニングと栄養介入もして体を作っていくのが理想的です。

 

幹細胞をやりつつ運動もする.png

 

 

フレイルの前のプレフレイルとは?

井上医師

プレフレイル”という状態がありますよね?

これに関しては、どの様にお考えでしょうか。

 

寺尾医師

“プレフレイル”はフレイルのチェックの数が少ないが、もう1個項目が増えてしまうと身体的フレイルになりそうだから、早めに対処しましょうということで

プレフレイルという病名があります。

やはり早めに対処できた方が、回復も早いのが身体的フレイルの特徴です。

 

プレフレイル.png

 

井上医師

PPK(ぴんぴんころり)という言葉がありますよね。

私は、PPKをプレフレイルの患者様にお話しします。

人生で最低レベルの健康がありますが、年齢と共に最低レベル以下にどうしても割り込んでいってしまいます。

年齢を重ねても自分で歩けて好きな事ができていて、ピンピンしていて突然コロリと逝っていただくのが良いですよとお話しています。

プレフレイルの方に対する幹細胞の点滴の考え方は、最低の健康レベルを上回る状態の時に治療を始めて欲しいと思っています。

 

寺尾医師

私の父が老人病院で勤務していた医師だったので、私も手伝いに行っていました。

やはり体が動いている方は、体を良い状態に保ちやすいです。

少し動き始めるだけでも、そこからグッと体の状態が回復もします。

例えば、幹細胞点滴をキッカケにして運動をしてもらえるといいですね。

 

井上医師

当院には60代前半で体力の衰えが気になるという事で、来院される方もいらっしゃいます。

プレフレイルの治療目的で、幹細胞の点滴を希望されますね。

寺尾先生は、その様な方に幹細胞の点滴をする場合、頻度はどのくらいで行いますか?

 

寺尾医師

理想を言えば、半年に1回ぐらい続けていくのはいかがでしょう?とお伝えはしています。

やはり入れた細胞は消耗品だと思ってるので、ある程度すると入れた分は消費してしまいます。

もちろん元々体の中にいる細胞も働いているので、全くなくなるという事はありませんが、細胞が減るタイミングで足してあげると効果的に幹細胞の作用を持続的に続けられます。

 

井上医師

やはり消耗するので、定期的に細胞を投与した方が良いという事ですね。

特に年齢が高い人ほど、密にやった方が良いと思っています。

 

高齢者ほど密に幹細胞治療.png

 

寺尾医師

どうしても体内の幹細胞数は、年齢とともに下がってしまいます。

細胞が少ない状態だと回復するのに時間がかかってしまうので、早めに治療を始めてもらうといいですね。

 

井上医師

今日は幹細胞の点滴について、お茶の水セルクリニックの寺尾先生をお招きしましてディスカッションさせていただきました。

普段は肌の再生医療についてシリーズでお伝えしていますが、時々この様な少し分野を外れた形から幹細胞についてお話しさせていただきます。

より幹細胞に対する理解が深まると幸いです。

寺尾先生、今日はどうもありがとうございました。

 

寺尾先生を招いてディスカッション.png

 

こちらの内容は動画でもご覧いただけます。

こんにちは、アヴェニューセルクリニック院長の井上啓太(いのうえけいた)です。

今回は、お茶の水セルクリニックの寺尾先生にお越しいただきまして、幹細胞の点滴について一緒にお話していきます。

 

寺尾医師

私の専門は整形外科で、お茶の水セルクリニックでは主に幹細胞を使った治療を行っています。

長い事細胞治療を行なっており、様々な身体の不調に関与できたらと思い頑張っております。

 

お茶セル寺尾先生.png

 

井上医師

お茶の水セルクリニックは整形外科専門ということで、幹細胞の点滴治療もされていますが、どの様な治療目的で行っていますか?

 

寺尾医師

点滴治療に関しては、まず一番最初に脊髄損傷という症状に対する病態として始めました。

その次に、慢性疼痛という病態に対して治療を始めております。

痛みは、なかなか原因を取り除いても残ってしまうケースがあります。

その慢性疼痛に対して点滴で痛みをしっかり抑えて、日常生活を少しでも楽にしていきます。

 

あともう一つは、フレイルという病態にも幹細胞の点滴治療を行なっています。

年齢とともに筋力が弱ってしまい、介護の一歩手前くらいの状態になったものをフレイルと呼びます。

フレイルに対して幹細胞を使って、介護状態の前に食い止めるようにします。

その様なコンセプトのもと、この3つの治療を行ってます。

 

井上医師

脊髄損傷に対する幹細胞の点滴だと、保険承認されている骨髄来幹細胞のステミラックというのが有名ですよね。

寺尾先生のところではTOPs細胞®ということで脂肪由来幹細胞ですよね。

効果としてはどうでしょうか?

 

寺尾医師

理想を言えば、点滴で細胞を入れて麻痺した所が動くようになるというのが理想ですが、なかなかそこまで到達することは難しいというのが正直な印象です。

ただ、脊髄損傷の後に痛みがずっと残っていたり、むくみが出てしまうなど、機能回復する以外にも脊髄損傷で日常生活に支障が出る病態っていくつもあります。

その様な脊髄損傷の随伴症状に対しては、劇的に効くことはあります。

麻痺している所の動きが回復することを期待しつつ、少しでも生活を楽にしていきましょうというコンセプトで幹細胞の点滴を行っています。

 

井上医師

むくみも良くなるのは、どういう機序だとお考えですか?

 

寺尾医師

調べてみてもはっきりとした事はわからなかったのです。

ただ経過の長い首の脊髄損傷の方で、点滴した後からみるみる手の腫れが引いていき、むくんでいるから動かしにくかったところが動かしやすくなったという事例があります。

 

井上医師

アヴェニューセルクリニックではリンパ浮腫に対して、局所注射(TOPs細胞®)を行っていますが、

むくみに効くというよりは、どちらかというと痛みに効きます。

でも当院では、点滴はしたことありません。

もしかしたらむくみには、幹細胞の点滴が効くかもしれないですね。

 

寺尾医師

脊髄損傷の後のむくみってCRPSの様にむくみます。

むくみに対しては、想定していた以上に効いてくれるケースがありますので、その様な症状で困っている方の治療の選択肢にはなるかもしれません。


※複合性局所疼痛症候群(CRPS)とは

組織的には治っているのに痛みが慢性的に続いてしまう病態のこと

 

井上医師

局所注射は注射したところにしか効きませんが、点滴注射は全身を巡っている静脈内に投与します。

体の炎症があるところに幹細胞が次々と行き、炎症を沈めてくれます。

局所注射では出なかった効果が、点滴の投与ではある様な気がします。

 

血流が巡る.png

 

寺尾医師

末梢の神経は血管に随伴する形で入っていますので、点滴などで入れてあげた方が体の隅々まで行き渡る事はあり得えます。

 

井上医師

局所注射で打つ時は「ここが痛いのかな?」「ここに炎症があるのかな?」と医師が考えて打ちます。

医師には見えていない、細い炎症まで点滴の場合はちゃんと行き渡ると考えたら良いでしょうか?

アヴェニューセルクリニックでも、点滴のメニューがあります。

点滴をしたら関節の痛みが良くなった人がたまにいらっしゃいます。

それも同じような理由ですか?

 

寺尾医師

関節の痛みは、関節の中からくるものと周囲からくるものの両方があります。

関節の周囲までは血流も豊富で、点滴で届いてくれています。

ただ直接関節の中までというと、なかなか届いていないと思います。

 

井上医師

軟骨の部分の病変や、軟骨下骨までは届きますか?

軟骨下骨は、血管があるので点滴をしても幹細胞が行くはずです。

軟骨下骨の病変の痛みについては、局所注射ではなくても点滴でも効くのではないかと考えられています。

 

寺尾医師

あと膝だと半月板の内側は、血流がほぼないので点滴だと届かないです。

半月板の治療の場合は、点滴で周りから幹細胞を行き渡らせて、同時に局所注射で関節の中にも幹細胞を入れるという方もいます。

点滴と局所投与の特性を活かしてあげる事が大切です。

 

慢性疼痛についての質問

 

井上医師

次は慢性疼痛の質問をさせていただきます。

寺尾先生は、慢性疼痛に対して幹細胞点滴をされていますが、どういう患者様が多いですか?

 

寺尾医師

やはりお茶の水セルクリニックのベースの領域が整形外科なので、腰痛や坐骨神経痛などの症状が多いです。

慢性疼痛の定義としては、基本的に3ヶ月以上継続している病態であれば全部慢性疼痛に入ります。

何か原因になる病気があれば、その病気の治療をするという事になりますが、慢性疼痛はレントゲンやMRIなどで原因がはっきりしないケースも多いです。

慢性疼痛の方は、幹細胞の点滴をして抜群に効くというケースもあります。

 

腰痛坐骨神経痛が多い.png

 

井上医師

治療困難な腰痛や坐骨神経痛で常に鎮痛剤などを使われている方は、幹細胞点滴治療を一回試してみる価値はありますよね。

 

寺尾医師

単純に痛みがある箇所の炎症を抑えるだけではなく、慢性疼痛の時は神経の周りに白血球が変にこびりついて持続的に痛みが出ているというケースがあると言われています。

その白血球をうまく取り除いてくれる作用も幹細胞点滴治療にはあると言われています。

 

井上医師

痛みの元は炎症ですが、炎症というのは白血球や免疫細胞が集まってきている状態です。

それを誘引するケモカインサイトカインというのが局所から出ています。

幹細胞は、サイトカインとかケモカインを中和する働きがあります。

そのため幹細胞治療は、根本的な痛みを取る治療法になっています。

お茶の水セルクリニックは、大体1回の治療で大丈夫ですか?

 

寺尾医師

基本は1回の治療で効果が出る事が多いです。

細胞を採ってからTOPs細胞®に仕上げるのに約1ヶ月なので、最短1カ月で投与する事ができます。

2回目の投与も、お腹から脂肪を採らなくても大丈夫な様に準備をしています。

その際の細胞の保管は無料で行わせていただきます。

 

井上医師

1回で効くというのがすごいですね。

鎮痛剤を飲み続けている方が、点滴1回で1年以上飲まなくて済むということですよね。

点滴一回でOK.png

寺尾医師

体の痛みが続いてると、気分が落ち込んでしまいます。

痛みはメンタルコンディションとの相関が強いので、気分が落ち込んでいくと同じ刺激でも痛みが感じやすくなってしまいます。

幹細胞の点滴を受けていただいた方で、痛みも減ったけど凄くやる気が出てきてポジティブな気持ちになってきたという声が多いです。

 

井上医師

それは、私も経験があります。

当院では、脳梗塞の後遺症に対して点滴をしていますが、たまに抑うつ傾向の方がいます。

その方に幹細胞の点滴をすると、非常に気分が前向きになるとおっしゃる患者さんもいます。

 

寺尾医師

この前、日本再生医療学会という学会がありセッションを聞いていたら、うつ病もだいぶ慢性炎症との相関が強いと話しをしていました。

脳内の継続してしまう慢性炎症が、うつ傾向なりうつ病を引き起こすのではといった事も発表されていました。

 

気持ちがポジティブになっていただけると、トレーニングとか運動とかしやすくなります。

やはり慢性的に痛みがある方は、運動をするモチベーションにならないので、幹細胞治療をきっかけにして運動を行なってもらいたいですね。

 

こちらの内容は動画でもご覧いただけます。

 

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