2022年11月アーカイブ

リンパ浮腫に運動は有効か?

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リンパ浮腫と運動療法について

「リンパ浮腫に運動は有効か?」というご質問をよくいただきます。

リンパ浮腫の臨床的な発生リスク(手術方法や放射線療法など)に関する研究はたくさんありますが、運動とリンパ浮腫の関連についての質の高い研究はそれほど多くはなく分からないことも多いです。

 

リンパ浮腫の人に運動制限はあるのか?

今回は、いただいた質問の中で“リンパ浮腫の人は運動していいのか?”というものがありましたので、科学的根拠とともにお答えしようと思います。

結論として、上肢リンパ浮腫は、弾性着衣を装着した状態での負荷を伴う運動はリンパ浮腫を悪化させずに筋力向上を期待できます。下肢リンパ浮腫に関して、弾性着衣を装着した状態での負荷を伴う運動は有効という報告もありますが、質の高い研究は未だありません。

 

リンパ浮腫と運動の研究結果

今回ご紹介する研究1は、アメリカのペンシルベニア大学で行われた、141人の乳がん術後1 ~5 年経過した上肢リンパ浮腫の患者さんを対象としたランダム化比較試験です。ベンチプレス,フットプレスをインストラクターの指導下に13 週間,自己実施で39 週間行い、介入終了1 年後のリンパ浮腫増悪は介入群14%vs. 対照群29%でした。圧迫した状態でのウェイトトレーニングはリンパ浮腫の増悪頻度を減らし,症状軽減と筋力向上につながると結論づけています。

 

画像1.png

 

下肢リンパ浮腫の運動療法について

一方で、下肢リンパ浮腫に対する運動療法の質の高い研究は今のところほぼ存在しません。(弾性着衣を装着した状態での負荷を伴う運動は有効という症例報告はいくつかあります。)

 

様々な患者さんを診る中での個人的な印象ですが、「無理のない範囲で弾性着衣をつけた状態でのウェイトトレーニングやウォーキングはお勧め。過度な運動や、患肢に衝撃の加わるジョギングなどは悪化するリスクがある。」とお伝えしています。

 

引き続き、質の高い研究が発表されることを期待しております。

 

(辛川領)

 

  1. Schmitz KH, Ahmed RL, Troxel A, Cheville A, Smith R, Lewis-Grant L, Bryan CJ, Williams-Smith CT, Greene QP. Weight lifting in women with breast-cancer-related lymphedema. N Engl J Med. 2009 Aug 13;361(7):664-73.

 

<記事更新:2024年4月22日>

「君子は其の己に在るものを敬して、其の天に在るものを慕わず。ここを以て日に進む。」 荀子 天論

 

調べ物をするとき、皆さん何を使われていますか?

20年前まで、人に聞いたり、本屋さんや辞典などを開いたりが主流だったとおもいます。ところが今ではめっきりパソコンやスマホでyoutubeやgoogleを開きます。小学校ではgoogleでの検索方法を授業に取り入れたりしているようですね。

 

われわれ医療の世界でも、最新情報のアップデートにはインターネットが不可欠です。教科書や印刷された論文ももちろん利用しますが、やはり最新の内容になるとネット検索します。

 

なかでも、分野の専門家がこれまでに発表された論文をたくさんまとめて解説するという論文は便利です。いわゆるレビュー論文ですが、教科書ほどではないにしても、ざっくりと全体像をつかむのに活用しています。

 

以前紹介しました、学術雑誌の最高峰の一つNatureで再生医療のreview論文について検索すると、たくさん出てきました。本日紹介するのは2020年に米国から報告された論文です。

 

再生医療の歴史について、以前再生医療の歴史として触れた内容と重なる部分もありますが、大変興味深く面白いものでした。

 

1950年代に一卵性の双子間で骨髄移植が行われたことに端を発します。1975年にパーキンソン病患者に胎児組織の移植に関する安全性が報告され、2000年に脂肪由来幹細胞の移植が初めて人に対して行われると、加速していきます。それまでは採取した細胞を培養して戻す、いわゆる第一世代の再生医療が進化します。

 

2007年にiPS細胞作製の方法が報告されると、採取した細胞に多分化能を獲得させて利用する、いわゆる第二世代の再生医療が2012年に臨床応用されます。時を同じくして、2010年前後にCRISPR-Cas9などの遺伝子改変技術が確立すると、部分的な遺伝子操作を加えた細胞を用いた治療、第三世代の臨床応用が2013年にはじまりました。

 

世代を経るごとにどんどんと狙った部分に操作を加えることができるようになってきており、いわゆるオーダーメイド治療に近いことが可能な将来が見えてきています。

 

こうした背景に時代としてのニーズがかかわっているのかもしれません。病気を治す医療から、未然に防ぐ予防医学の重要性は古くから言われています。本邦においても保険医療の転換が2013年に厚生労働省より保険医療2035という形で提案されています。まさに量から質へ、キュアからケアへと変わりつつあります。

 

デジタル化の進展に伴って情報量は爆発的に増加しています。データ流通量でみると、直近10年ほどの間に毎年20%以上の増加率と言われています。

IT革命という時代の潮目に生きるわれわれが、これから描いて作り上げていくsociety 5.0において、医療はどのように発展していくのでしょうか。

次はどんな時代になるのか、楽しみです。

 

ではまた!

 

(加藤基)

 

参考資料

 

Kimbrel, E.A., Lanza, R. Next-generation stem cells — ushering in a new era of cell-based therapies. Nat Rev Drug Discov 19, 463–479 (2020).

 

総務省 情報量推移

総務省|令和2年版 情報通信白書|データ流通量の推移 (soumu.go.jp)

 

保険医療2035提言

【新ビジョン公開】2035年、日本は健康先進国へ。 | 保健医療2035 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

 

今話題の肌の再生医療とは

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こんにちは。アヴェニューセルクリニック院長の井上啓太です。

この度、YouTubeチャンネルを開設しましたので、ブログでもご紹介していきたいと思います。

画像1.pngのサムネイル画像

 

今話題になっている肌の再生医療とはTOPs細胞とはその若返り効果とは

私自身の体験を踏まえまして、週単位・月単位の短期的な若返り効果、5年以上経過した長期的な若返り効果をシリーズで紹介していきます。

今回は、再生医療の概略について解説していきます。

 

再生医療とは

近年、再生医療という言葉を聞く事が多いと思います。

再生医療といっても神経心臓関節皮膚など、非常にたくさんのものが現在では実用化されています。

例えば神経の再生医療では、断裂した神経が回復する事は絶対にないと言われていましたが、

再生医療によって神経が再び回復する事が可能になっています。

また今までは移植以外方法がなかった心臓も、再生医療を用いる事で移植をしなくても心臓が回復する事ができます。

この様な例があり、今までは医学でも不可能とされていた事が可能になってきました。

 

肌の構造

肌の構造は、表皮(ひょうひ)真皮(しんぴ)という二層でできています。

表皮の図.png

 

その下が皮下脂肪になっています。

皮下脂肪の図.png

 

このうち肌の再生医療は、表皮を狙ったもの真皮を狙ったアプローチがあります。 

昔から行われていた再生医療の方法は、表皮の細胞を取って培養をして、

薄いシート状にして皮膚に貼り付けるという方法でした。

それは表皮細胞シートと呼ばれていて、美容目的ではなく主に重症の火傷に使用されています。

若返りというよりは救命のための治療です。

 

自家培養表皮.jpg

 

肌の再生医療

肌のシミ・シワに対しての再生医療は、表皮ではなくその奥の真皮に対してアプローチをしていきます。

約70%を占める真皮の主成分は、よく耳にするコラーゲンです。

真皮の再生医療は、コラーゲンを増やす事を目的としています。

コラーゲンの役割は、肌を支えている柱の様な役割ですので、少なくなってくると肌がタルんできてシワの原因になります。

コラーゲンは、線維芽細胞(せんいがさいぼう)という細胞から作り出されます。

線維芽細胞はコラーゲンの他にも、肌の潤いの元になるヒアルロン酸や肌の弾力を出すエラスチンなども作り出します。

その線維芽細胞を培養して肌に注射したり、線維芽細胞を刺激するグロースファクター(成長因子)を打ったり、

グロースファクターが豊富に含む血小板から作られるPRPを注射します。

 

間葉系幹細胞

線維芽細胞を増やしたり、刺激したりする方法の他に間葉系幹細胞(かんようけいかんさいぼう)を真皮に入れるという方法もあります。

間葉系幹細胞の代表的なものとして脂肪幹細胞(しぼうかんさいぼう)があります。

ご自身の脂肪組織から採取した幹細胞を培養して、肌に注射をするという方法です。

当院では、脂肪幹細胞としてTOPs細胞というブランドの細胞を使っています。

TOPs細胞.png

 

TOPs細胞とは、当院と東京大学整形外科との共同研究によって培われた技術を用いて培養された脂肪由来幹細胞です。

 

 

今回のまとめ

ダイレクトに真皮のコラーゲンを増やすには、脂肪由来幹細胞(TOPs細胞)の注射が有効です。

まだ再生医療の肌治療は馴染みのない方が多いですが、肌の若返りが期待できます。

 

こちらの内容は動画でもご覧いただけます。

 

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