2023年12月アーカイブ

静脈投与による幹細胞治療についてお伝えする2回目は、動脈硬化症と難治性アトピー性皮膚炎でのケースです。いずれも患者様の症状によって効果はまちまちです。全ての方に同じような効果があるとは言い切れません。医師の説明をしっかりと聞き、疑問や不安を取り除いてから治療を受けましょう。
 
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高齢化と生活習慣の欧米化により動脈硬化症が増えている

動脈硬化症とは、体のすみずみまで血液や栄養を運ぶ動脈の壁が厚くなったり、血管が狭くなったりする病気です。
加齢、脂質異常症、糖尿病などに伴って、体の広い領域で動脈硬化が生じます。なかでも足の動脈が細くなったり、詰まったりする閉塞性動脈硬化症(ASO)は、今後も増加すると予測されています。
閉塞性動脈硬化症の患者様は、多くが高血圧、脂質異常症、糖尿病を合併しているのも特徴です。以前は閉塞性動脈硬化症の予後(病気の快復見通し)は比較的良いと考えられていましたが、合併症がある場合は2~3年後以降の長期的な生存率は低いことが判明しています。
 
 

生活習慣の見直しと薬物療法が一般的な治療法

動脈硬化症の発症には、さまざまな要因が複合的に関係することが知られています。従来の治療法で一般的に優先されるのは、生活習慣の見直しです。
食事面では、栄養バランスのとれた規則正しい食生活を心がけること、アルコールの過剰摂取を控えることがあげられます。運動面では、ウォーキングや水泳などを30分以上、週に3~4日行うことが推奨されています。
これらの生活習慣の見直しをしても症状の改善が見られない場合、薬物療法がすすめられます。コレステロールを減らす作用のあるスタチン系の薬剤や、肝臓での中性脂肪の産生を抑えてコレステロール排出を促すフィブラート系薬剤、中性脂肪を減らして血液をサラサラにする働きのあるオメガ3-脂肪酸製剤などが処方されます。
狭くなったり塞がったりした血液の通り道を改善するため、カテーテル治療やバイパス手術が選択されることも。
 

幹細胞治療により血流改善や炎症を抑えて悪化を防ぐ

動脈硬化症の幹細胞治療では、脂肪幹細胞を用いて行います。患者様のおへそ周辺より採取した脂肪から幹細胞を分離・培養して静脈点滴で投与します。
脂肪幹細胞は、自分を複製する能力と多様な細胞に分化できる能力を持つことから、血流改善や血管の再生に働きかけます。また、炎症を抑える物質を分泌する性質があり、炎症を抑えることで症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。
 
 

湿疹とかゆみが繰り返し発生し、長期化してしまう難治性アトピー性皮膚炎

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アトピー性皮膚炎というと、小児期に多い病気というイメージですが、実際は成人になってからも治らないケースや、成人になってから発症するケースもあります。
主な症状は湿疹とかゆみが体の一部、あるいは広範囲にわたって断続的に発生します。症状が良くなったり、悪化したりを繰り返すことも特徴で、気候の変動や花粉などの季節的な外的因子に影響される場合も多くあります。かゆみを我慢できずに皮膚をかきむしると、悪化して皮膚のバリア機能が低下してしまいます。すると、皮膚内部の水分が保持できず、外部からの刺激物が乾燥した皮膚に入りやすくなります。この悪循環が繰り返し発生することで、症状が長期化してしまい、なかなか治らず「難治性」となってしまうのです。
 
 

抗アレルギー薬など薬物療法を用いても治療の難しさがある

アトピー性皮膚炎の治療は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、免疫抑制薬などを用いた薬物療法が一般的です。しかし、長期使用することで副作用が出ることもあり、使用量や期間をコントロールしながら行うことが必要で、治療に難渋するケースも。
なかでも「かゆみ」はQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を低下させる自覚症状のひとつで、かゆみに耐え切れずかいてしまうと皮膚炎の悪化や感染症、合併症の誘因となるので、そのコントロールは重要です。
 
皮膚の病気というだけではなく、症状を抱えながら生活していくことの難しさも指摘されています。小児期から続く厳密な食事制限による成長障害が現れることも。また、アレルギー物質を生活環境から排除したり、食事に気をつかったりなど親や家族に大きな負担がかかり、育児ノイローゼや引きこもり、不登校、休業、失業など社会的課題が浮かび上がってくる病気でもあります。
 

中等度のアトピー性皮膚炎は幹細胞治療で症状が軽減することが期待できる

治りにくいとされた難治性アトピー性皮膚炎に対し、自分の幹細胞を用いる幹細胞治療が功を奏するという報告がなされ、当クリニックでも2018年10月から脂肪幹細胞による治療を開始しました。
静脈に点滴投与された脂肪幹細胞は、難治性アトピー性皮膚炎に大きく関与するタンパク質の出現を抑えると考えられています。皮膚の炎症とかゆみを誘発する働きがあるタンパク質「インターロイキン3」と「インターロイキン14」です。
繰り返しになりますが、効果には個人差がありますので、全ての人に確定した効果がもたらされるわけではないことを頭に入れておいてください。
 
 
再生医療を目的として受診する医療機関を選ぶときには、厚生労働省に届出をした医療機関であるかを必ず確かめてください。厚生労働省のホームページでも確認できますし、医療機関のホームページなどに「第二種再生医療等提供計画番号を取得」と明記しているかどうかも判断基準になります。
膝関節や靭帯のように患部に直接注射をできればいいのですが、そうでない病気の場合は点滴を用います。静脈点滴で血流にのせて損傷部位まで幹細胞を届ける方法です。2回に分け、どんな病気の治療に役立てているかを紹介します。前編では、脳梗塞後遺症とALS(筋萎縮性側索硬化症)についてです。
 
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本ブログの要約

アヴェニューセルクリニックでは、培養した幹細胞を用いた静脈点滴療法を提供しています。この方法は、脳梗塞後遺症やALS(筋萎縮性側索硬化症)など、直接注射が難しい部位の治療に適しています。幹細胞が血流に乗って損傷部位に到達し、組織の修復や機能回復を促進します。特に、脳梗塞後遺症の麻痺やしびれ、ALSの進行抑制に効果が期待されています。ただし、効果には個人差があり、全ての患者に同様の結果が得られるわけではありません。
 

血液にのせて幹細胞を運び損傷部位を修復する静脈点滴治療

患者様から採取した幹細胞を分離、培養して治療をします。この培養した幹細胞を直接患部に注入できる場合は注射で行いますが、脳や肺、神経系といった直接注射ができない部位には点滴療法を用います。
血管は全身に張り巡らされている、いわば輸送経路。静脈点滴によって注入された幹細胞が血液の流れとともに運ばれ、損傷部位に届くというわけです。
しかし、残念ながら現時点ではすべての臓器に効果があるとは言えません。また、高度な技術と知識が必要とされる幹細胞点滴治療は、受けられる医療機関が限られているのが実情です。
 
医学論文で再生医療の効果があったと報告されているなかで、当クリニックでも特化して行っている点滴治療についてお話しします。
 

しびれや記憶障害など再生医療による脳梗塞後遺症の改善に

脳梗塞とは、脳の血管が詰まって血流が途絶えることで、神経細胞が壊死してしまう病気です。昔は死亡率の高い病気でしたが、急性期医療の発達で死亡率は低下しました。しかし、高齢化社会に伴い、患者数は増加傾向にあります。
急性期医療が発達したといっても、発症後すぐに最適な医療を受けられるケースは限られています。脳梗塞でダメージを受けた部位によっては、さまざまな後遺症が残る場合も。
慢性期になると有効な治療法がほとんどなく、介護保険における要介護認定患者の原因疾患のうち、今も脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称)が1位を占めています。
 

重度、軽度にかかわらず脳梗塞後遺症の改善を望む患者様がほとんど

脳梗塞の後遺症は、麻痺、しびれ、めまいなどの運動障害と、認知症、記憶障害、言語障害などの高次脳機能障害と大きく二つに分けられます。日常生活に支障をきたすような後遺症はもちろんのこと、軽度の後遺症を抱える患者様の多くも症状の解消や軽減を望んでいます。
後遺症に対する医療も進歩し、リハビリテーションや内服薬で対応していますが、その効果も限定的というのが実情。
 

脳梗塞後遺症の治療で期待される間葉系幹細胞治療

発症して一定の期間が過ぎると、機能回復はほぼ望めず現状を維持することが精いっぱい。そこで、注目を集めているのが間葉系幹細胞による治療です。自分の骨髄や脂肪の中に存在する間葉系幹細胞を体外で培養し、量を増やしてから点滴で体内に戻す治療法で、個人差はありますが改善が見られるという報告が国内外から相次ぐようになりました。
 
患者様の症状により骨髄由来か、脂肪由来かを判断します。骨髄幹細胞の場合は、腰の皮膚を3㎜ほど切開し、専用の器具を使って骨髄液を採取します。脂肪幹細胞の場合は、おへその周辺を4㎜ほど切開して脂肪を米粒3~4個分を取り出して培養します。この傷はほとんど目立たず、痛みもほぼないので体に大きな負担をかけることなくできます。培養期間には個人差があり、骨髄幹細胞を用いる場合は、約1カ月かかります。
 

後遺症のほか肝臓や血管などさまざまな部位の改善が見られる

点滴で静脈注射された間葉系幹細胞は、傷ついた増改や組織に自らが向いその組織を修復するように働きかけます。
脳に新たな血管網が構築され、脳の血流がよくなります。また、神経再生作用により脳梗塞後遺症の運動神経障害や認知症などの高次脳機能障害に対しての改善も期待できます。
医学論文では、脳梗塞の後遺症だけでなく肺疾患、糖尿病、肝硬変などの疾患に対しても効果が得られたという報告もあります。幹細胞を静脈投与することで、血管を通って脳だけでなく肺や肝臓などあらゆる部位の修復を行ってくれていることが示されているのです。
 

脳梗塞が認知症の原因にも

加齢によってほとんどの人に起こる小さな軽い脳梗塞は、認知症の初期症状の原因のひとつにもなります。物忘れがひどくなったり、怒りっぽくなるといった症状ですが、これらもこの治療によって改善が期待できます。
当クリニックでこれまで脳梗塞後遺症の治療を受けた患者様からは、よく眠れるようになった、イライラしなくなった、集中できる時間が長くなった、疲れにくくなった、肌にハリを感じるようになったという声が寄せられています。
ただ、効果は患者様によってさまざまなので、共通した効果が得られるわけではありません。
 
 

筋肉が衰えていくALS(筋萎縮性側索硬化症)の治療の可能性

ALSとは、手足、のど、舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が徐々に痩せて衰えていく進行性の病気です。筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かすための運動神経系(運動ニューロン)が障害を受け、脳から体の運動器官に「手を動かせ」といった命令が伝わらなくなり思うように体が動かせなくなるのです。
手足のしびれ、話しにくい、食べ物を飲み込みにくいという、今までは普通にできていたことができなくなる症状が起こり始めます。進行すると、食事ができなくなったり(嚥下障害)、寝たきりになったり(運動障害)、人工呼吸器なしでは呼吸ができなくなって(呼吸筋麻痺)死に至ります。
 
前述の通り、筋肉自体に問題が生じるのではなく、脳の指令がうまく伝達されないことで体が動かせなくなり、体を支えている筋肉が弱り、筋力が低下する悪循環が起きるのがALSです。
 
まだ正確に原因は解明されていませんが、老化による神経細胞の変性と細胞の減少が関連していると言われています。現在も日々、全世界の研究者が原因や治療法を研究していますが、どちらもまだ確立されていないのが現状です。
 

幹細胞治療によってALSの症状の進行速度を遅らせることに期待

現状では根本的な治療法がなく、内服薬(リルゾール)や注射薬(エダラボン)、リハビリで運動機能の低下を遅らせたり、生命予後を延長させたりすることができるようになっていますが、効果は限定的です。未だ「ALSが治る時代」は遠く、死に至る病であることに変わりありません。
そんななか、幹細胞を用いた治療がALSに有用であることがわかってきました。完全に進行を止め、完治させることは難しいのですが、ALSによる症状を回復させることや、進行速度を遅らせることができるとわかってきました。しかし、それに反論する報告や意見もあり評価はまだ定まっていません。
 
当クリニックでは、「有効な可能性がある」という立場で2018年から幹細胞を用いた治療を始めました。
患者様のおへその周辺から採取した脂肪から幹細胞を分離、培養して点滴で投与します。血液にのって傷ついた臓器や組織に自らが向い、その組織を修復するように働きかけて進行を遅らせるのです。
残念ながら、症状の進行速度が止まったり、明らかに改善されたりするというわけではありません。
 
当クリニックは、厚生労働省へ自己骨髄由来間葉系幹細胞と自己脂肪由来間葉系幹細胞の点滴投与の第二種再生医療等提供計画を提出済みのクリニックです。厚生労働省のホームページを見て受診される方が多くいらっしゃいますが、神経内科やリハビリテーションの医師と積極的にコンタクトをとりながら現在行っている治療法と並行して幹細胞治療を希望する方を対象に治療を行っています。
 

FAQ

Q1: 幹細胞の静脈点滴療法とはどのような治療法ですか?

A1: 患者様から採取・培養した幹細胞を静脈点滴で体内に戻し、血流を通じて損傷部位に届ける治療法です。脳や神経系など、直接注射が難しい部位の治療に適しています。
 

Q2: 幹細胞治療は脳梗塞後遺症にどのような効果がありますか?

A2: 幹細胞が損傷した脳組織の修復を促し、麻痺やしびれ、記憶障害などの後遺症の改善が期待できます。ただし、効果には個人差があります。
 

Q3: ALS(筋萎縮性側索硬化症)に対する幹細胞治療の効果はどの程度ですか?

A3: 幹細胞治療により、ALSの症状進行を遅らせる効果が期待されています。しかし、完全な治癒は難しく、効果の程度には個人差があります。
 
 
<記事更新:2025年4月12日>

こんにちは、アヴェニューセルクリニック院長の井上啓太(いのうえけいた)です。

今回は、幹細胞治療に欠かせない脂肪採取の様子をお伝えしたいと思います。

脂肪採取前の麻酔と採血の様子

脂肪は、お臍のきわを数mm切開し採取をします。

お臍のきわに小さいシワがありますので、ここから切っていきます。

臍のしわに合わせて切る.png

お腹の皮膚を切るとなると傷が気になると思いますが、お臍のシワに合わせて採取しますので傷はなくなります。

 

 

まずは、麻酔をします。

麻酔を打つ時の注射には、少し痛みが生じますがこれ以降、痛みはほぼありません。

麻酔を打つ.png

患者様に感覚を伺いながら麻酔をしていきますのでご安心ください。

だいたい500円玉の範囲に麻酔をしていきます。

500円玉に合わせて麻酔.png

脂肪を採取すると大きい塊の脂肪をイメージすると思いますが、実際は米粒くらいの大きさの脂肪です。

また、片方のお腹から脂肪を採取すると左右のお腹の大きさが変わるのではないかと不安になられる方もいらっしゃいますが、

その様な事はないのでご安心ください。

 

麻酔を打ち終えてから3分〜5分ほど時間をおきます。

この間に採血を行います。

血液採取.png採血する血液の量は、注射器2本分(50ml)になりますので、人間ドックで採る量より少し多めの採血です。

 

脂肪採取の実際の様子

採血をしている間に先ほどのお腹の麻酔が効いてきますので、脂肪採取を始めていきます。

麻酔が効いているかを確認して、再び何度か消毒をしていきます。

 

再度消毒.png

 

お腹の上に清潔な布をかけていきます。

この布は清潔エリアなので、布の上に手を出したり触れたりしない様ご注意ください。

麻酔が効いているか再度確認をしてから、お臍のシワに合わせて数mm切開します。

 

脂肪採取切開.png

皮膚の切開中に痛みや違和感が出ないかを確認しながら慎重に2mm程の切開創を作ります。

脂肪を採取する際は、専用の特殊な機械を使用します。

脂肪を採取する時に「パチン」という音がします。

脂肪採取.png

 

これが脂肪の粒です。

脂肪の塊.png

これを何度か行います。

脂肪採取中は麻酔が効いているので痛みはほぼありません。

3回ほど脂肪採取.png

 

ほとんどお臍のシワに隠れてしまうような傷になっています。

臍の傷.png

 

 

内出血を予防するために、ガーゼの束を傷に押さえていきます。

ガーゼで止血.png

 

ガーゼの上から止血用のベルトで固定していきます。

ベルトで止血.png

この状態で止血をしていただきます。

 

内出血が起こる確率は、だいたい3人に1人ほどですが程度は非常に軽いです。

500円玉くらいの内出血が少しできるくらいです。

 

傷の方は非常に小さいので圧迫が終わった後は、シャワーや入浴などお風呂に入っていただいても全く問題はありません。
この様に患者様に負担の少ない方法で脂肪を採取する事ができます。
ただ不安な事はあると思いますので、ご質問などございましたら当院までお気軽にお問い合わせ下さい。

 

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