ヒアルロン酸注入とは?部位別の効果と注入のポイント【医師が解説】

ヒアルロン酸

こんにちは。アヴェニュー表参道クリニック院長の佐藤です。


加齢とともに、ほうれい線や目の下のくぼみ、頬のコケといった変化が気になってくる方は少なくありません。
これらのお悩みの多くは、肌表面だけでなく、肌内部のボリュームロスが関係しています。

年齢を重ねると、皮膚のハリが減少するだけでなく、顔の脂肪の位置が変化したり、骨も徐々に痩せていきます。その結果、皮膚を内側から支える力が弱くなり、ほうれい線が深く見えたり、目の下がくぼんで疲れた印象になったりといった変化が現れてきます。

こうしたボリュームロスに対して行われる治療のひとつが、ヒアルロン酸注入(ヒアルロン酸注射)です。
失われたボリュームを補いながら、顔全体のバランスを整え、自然に若々しい印象へ導くことができます。

今回は「ヒアルロン酸注入」について前編・後編に分けて解説いたします。
本記事(前編)では、ヒアルロン酸注入の基本から人気の注入部位、施術の流れ、注意点までを詳しく解説します。

はじめに

「ヒアルロン酸」という言葉はよく耳にするものの、実際にどんな成分で、どのような役割を持っているのか詳しく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

美容医療分野でのヒアルロン酸は、シワやたるみの改善、鼻やあご・額の形成、頬やこめかみなどのボリュームロスの補正など幅広い目的で使用されています。

なお、ヒアルロン酸は美容医療だけでなく、化粧品にも広く使用されている成分です。
スキンケア製品では、主に保湿成分として配合されており、肌の表面で水分を保持することで乾燥を防ぎ、肌をなめらかに整える役割があります。

このように、同じヒアルロン酸でも美容医療と化粧品では役割や目的が異なります。

ヒアルロン酸注入とは?

ヒアルロン酸の正体

ヒアルロン酸(Hyaluronic Acid)は、もともと体内に存在する多糖類の一種で、皮膚や骨の関節液、眼球などさまざまな組織に含まれている人体に欠かせない成分です。

ヒアルロン酸の大きな特徴は、「高い保水力」です。
1gで約6Lもの水分を保持できるといわれており、スポンジのように水分を抱えこむことで、肌のうるおいを保つ働きをしています。

さらに、皮膚の中では、コラーゲンやエラスチンなどの線維の間を満たし、水分を保持することで肌のハリや弾力を支える「クッション」のような役割も果たします。

ヒアルロン酸のイメージ

ヒアルロン酸が美容医療で使われるようになった経緯

ヒアルロン酸は、もともと美容目的で開発された成分ではありません。

人体に存在する成分であり、関節液や皮膚、眼球の硝子体などに多く含まれています。こうした特性から、体内に使用しても異物として認識されにくく、生体適合性が高い医療成分として研究が進められてきました。
医療分野では、膝などの痛みを緩和するための関節治療や、白内障手術など眼科治療の治療で長く使用されています。

その後、ヒアルロン酸が持つ高い保水力と組織を支える性質が着目され、美容目的の「フィラー(注入剤)」としての応用が検討されるようになり、製剤が開発され、シワ治療や輪郭形成の治療として普及していきました。

美容目的として、ヒアルロン酸がフィラーに適していると考えられた理由は以下です。

  • 体内成分のため、アレルギー反応が比較的起こりにくい
  • 保水力により自然なボリュームを再現できる
  • 時間の経過とともに分解・吸収されるため安心感がある
  • 種類が豊富で、硬さや弾力を注入部位に合わせて選択できる
  • 万が一仕上がりの調整が必要な場合には「ヒアルロニダーゼ」で溶かすことができる

これらの理由から、ヒアルロン酸は現在、世界中でも最も広く使用される注入剤(フィラー)の一つとなっていると考えます。

人気の注入部位

ほうれい線

ほうれい線へのヒアルロン酸注入ビフォー&アフター症例写真

年齢とともに、肌のハリの低下や頬の皮膚のゆるみ、脂肪の下垂などが起こると、頬と口元の境目に段差が生じます。この段差によって、影が濃くなり、ほうれい線として目立つようになります。
実際には、深いシワというよりも頬と口元の高低差によって生じる影がほうれい線の正体と言われています。そのため、影が目立つようになると、疲れて見えたり、実年齢よりも老けた印象を与えてしまうことがあります。

段差が生じている部分にボリュームを補うことで、影を目立ちにくくし、自然な若々しい印象へ整えることが期待できます。
また、ほうれい線へのヒアルロン酸注入は、段差を埋めるだけでなく、頬のボリュームを補うことで軽いリフトアップ効果が得られることがあります。

さらに、ほうれい線が目立つとファンデーションが溝に入り込みやすく、化粧崩れの原因になることがあります。段差が緩やかになることで、メイクのりの改善を実感される方もいらっしゃいます。


一方で、ほうれい線が薄い方や、笑ったり時など表情を動きによって現れる表情ジワの場合には、ヒアルロン酸注入による改善効果が限定的なこともあります。その場合には、少量の注入でバランスを整えたり、他の施術をご提案することもあります。

涙袋

涙袋は脂肪でできていると思われがちですが、実際は眼輪筋のふくらみや収縮によってできるものです。笑った時に下まぶたがふっくらと盛り上がるのは、この眼輪筋の動きによるものです。

しかし、年齢を重ねると、眼輪筋が痩せたり、皮膚のハリが低下して下瞼がたるんでしまうと、涙袋が目立ちにくくなることがあります。

涙袋のヒアルロン酸注入では、皮膚の厚みや骨格、目の形を考慮しながらデザインを行い、適切な部位にヒアルロン酸を注入することで、目元に立体感を与えることができます。
涙袋が強調されることで、目元が明るく見えたり、若々しく可愛らしい印象を得られます。

また、注入方法やデザインによって、目の縦幅が大きく見せられるため目元の印象がはっきりしたり、中顔面が短く見える効果が期待できる場合もあります。そのため、特に20〜30代の女性を中心に人気の高い注入部位の一つとなっています。


一方で、涙袋のヒアルロン酸注入について「不自然に見える」と話題になることもあります。こうしたケースの多くは、注入量が多すぎる、あるいは注入範囲が広すぎることが原因として考えられます。
適切な量とデザインで注入を行うことで、自然な仕上がりを目指すことが可能です。

鼻筋

鼻へのヒアルロン酸注入ビフォー&アフター症例写真

鼻筋へのヒアルロン酸注入は、鼻の高さを出したり、鼻筋のラインを整えることで、顔全体の立体感を高めることができます。また、軽度の曲がりを目立ちにくくしたり、横顔のバランスを整えることも期待できます。

そのため「横顔の印象を整えたい」「鼻を少し高くしたい」「手術には抵抗があるが鼻の印象を変えたい」といった理由から、注入を希望される方が多い部位です。

ただし、鼻は顔の中心に位置するパーツであるため、鼻筋のラインが整うだけでも顔全体の印象が大きく変わることがあるため、自然なバランスを保つことが非常に重要です。
骨格や皮膚の厚みを考慮せずに過度な高さを出してしまうと、鼻筋が不自然に太く見えたり、横から見たときに違和感が生じることがあります。

また、鼻は血管が多く走行する部位でもあるため、解剖学的な知識に基づき適切な層へ注入をすることも重要です。

顔に合った自然な高さとラインに整えることが美しい仕上がりに繋がります。

唇は、顔の中でも実は年齢が出やすい部位のひとつです。
加齢とともにコラーゲンやエラスチンが減少すると、唇のボリュームが減ったり、輪郭がぼやけたりすることがあります。また、唇が薄くなることで、口元全体がやや寂しい印象に見えることもあります。

そのため、唇の薄さやボリューム不足を気にされ「ふっくらとした唇にしたい」とご相談に来られる方も少なくありません。ヒアルロン酸を注入することで、唇に適度な厚みが出て、若々しく華やかな印象に繋がります。エイジングケアの一環としての効果も期待できます。

単にボリュームを増やすだけでなく、唇の輪郭を整えたり、上唇と下唇のバランスを調整することもできます。
また、唇の両端(口角付近)に注入することで、口角が持ち上がり、やわらかく明るい表情に見せることができたり、上唇に適度なボリュームを与えることで、唇が上向きになり、結果として人中が短く見えるなど顔の印象を整えられるため、人気の高い注入部位です。

唇は表情や会話の際によく動く部位でもあるため、柔らかさや自然な動きを保たなければなりません。そのため、唇の形、顔全体のバランスなどを考慮しながら、適切な量を見極めて注入することが大切です。
過度にボリュームを出してしまうと、不自然な印象になることもあるため、唇のヒアルロン酸注入では、顔全体のバランスを考えて調整を行うことが重要です。

輪郭バランスの改善

額へのエランセ注入ビフォー&アフター症例写真

20代〜30代の方は丸みを出したいという希望が多く、40代以降の方は脂肪の減りや、骨が痩せることによる額の凹みを埋めたい、ボリュームロス改善の目的でご来院されます。
※額注入の際、当院では症状に応じて「エランセ」など、別の製剤をご提案することもございます。

こめかみ

こめかみへのエランセ注入ビフォー&アフター症例写真

患者さまは自覚しづらい部位ですが、こみかみのボリュームロスは「骨っぽさ」「こけた印象」が目立ち、老け見えに直結してきます。ご提案して実際に注入すると喜ばれることが多い、そんな部位です。
※こめかみ注入の際、当院では症状に応じて「エランセ」など、別の製剤をご提案することもございます。

頬へのヒアルロン酸注入ビフォー&アフター症例写真

加齢によるコケの改善を目的に「昔はこんなコケていなかった」とご相談される方が多く見られます。また、若い方では卵形の顔立ちに対する骨格補正として希望されるケースもあります。
注入だけで老け見えの印象がかなり変わる部位です。

疲れ顔の改善

クマ・ゴルゴライン

目の下へベビーコラーゲン注入ビフォー&アフター症例写真

クマには大きく3種類あり、原因によって治療法が異なります。
ヒアルロン酸注入で改善できるのは黒クマのみです。

・青クマ:血行不良や目の下の毛細血管が透けて見えることが原因
・茶クマ:摩擦・紫外線・アトピーや花粉症による炎症などで起こる色素沈着
・黒クマ:目の下の凹みや影が原因 → ヒアルロン酸注入で改善可能

※黒クマの処置の際、当院では症状に応じて「ベビーコラーゲン」など、別の製剤をご提案することもございます。

施術の流れ・痛み・ダウンタイムについて

施術の流れ

①カウンセリング
ヒアルロン酸注入をご希望の方は医師によるカウンセリングがあります。
その他、お肌の悩みやご不安に思っていることがあれば合わせてご相談ください。

②麻酔
ヒアルロン酸注入では塗り麻酔を使用します。また、刺入する部分には局所麻酔を行います。

③施術

④アフターケア
日常生活で大きな制限はなく、施術後すぐにメイクいただけます。
術後に心配なことがありましたら、医師が診察いたしますので、お気軽にお申し付けください。

痛みについて

ヒアルロン酸注入には、一般的な「尖った針」と、先が丸い「鈍針(カニューレ)」があります。

  • 通常の針(尖った針)
    刺すたびに皮膚に穴を開ける必要があり、細かく何度も刺すことになります。
  • 鈍針(カニューレ)
    先が丸く、皮膚の中を通して目的の部位まで一度で到達できるため、刺す回数が少なく済みます。
    刺す瞬間が痛みを伴いやすいのですが、鈍針を用いることで刺す回数を減らし、より快適に施術を受けていただけます。今ではこの方法が一般的になっています。
針の解説

ダウンタイム・副作用

内出血や腫れは数日〜1週間程度で落ち着きます。大切なイベントや用事が控えている場合は、1か月ほど余裕を持って施術を受けていただくのがおすすめです。
こうすることで追加注入や、仕上がりが馴染むまでの時間も確保することができます。
ヒアルロン酸注入はアレルギー反応、血栓リスク、麻酔による体調不良など、稀に起こる可能性があります。

まとめ

ヒアルロン酸注入は「体内に存在する成分のため、安全性が高い」「自然にボリュームアップが叶う」「デザインが合わないなど、何かあった際に溶かすことができる」という点から、美容医療の中でも人気の高い施術です。
注入部位によって目的や効果は異なり、ご自身の悩みに合った部位・方法を選ぶことが満足度を高めるポイントです。

Dr. PROFILE

佐藤 卓士(さとう たかし)  

京都大学農学部卒業 農学修士  
九州大学医学部卒業 医学博士
  

岡山大学医学部付属病院 勤務 
杏林大学医学部付属病院 勤務 
都立大塚病院形成外科 勤務  

2018年 アヴェニュー表参道クリニック 院長就任

日本専門医機構認定形成外科専門医 
日本レーザー医学会認定レーザー専門医  


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