こんにちは。アヴェニュー表参道クリニック院長の佐藤です。
春になると、
「今まで問題なく使えていた化粧品がしみる」
「急に赤みやかゆみが出てきた」
「乾燥しているのに、なぜか皮脂も気になる」
このような悩みを抱える方が増える印象があります。
春は1年の中でも肌が不安定になりやすく、特に3月から4月は、冬とは違う肌トラブルを感じやすい時期です。
いわゆる「ゆらぎ肌」のサインかもしれません。
本記事では、なぜ3〜4月にゆらぎ肌が増えるのか、その背景にある原因と、季節に合わせた対策や美容医療について分かりやすく解説します。
ゆらぎ肌とは
ゆらぎ肌とは、季節の変化や環境、体調の影響などによって肌のバリア機能が一時的に低下した状態を指します。
バリア機能が低下すると、外部刺激に敏感になり、普段よりもトラブルが起こりやすくなります。
普段は問題なく使えていたスキンケア製品が急にしみたり、乾燥・赤み・かゆみなどの肌トラブルが出やすくなったりすることが特徴です。
ゆらぎ肌は、医学的な名称ではありませんが、美容医療やスキンケアの分野では広く用いられています。
メカニズム
健康な肌は、角質層にある「バリア機能」によって守られています。
このバリア機能は主に次の3つによって構成されています。
- 角質細胞
- 細胞間脂質(セラミドなど)
- 皮脂膜
これらがバランスよく保たれることで、水分を保持しながら肌を外部刺激から守っています。
しかし、季節の変化・ストレス・紫外線・生活習慣の乱れなどの影響を受けると、バリア機能が低下し、肌が敏感な状態になります。
その結果「化粧品がしみる」「赤みが出る」「肌が乾燥する」「かゆみやヒリつきが起きやすい」といった、ゆらぎ肌の症状が現れやすくなります。

ゆらぎ肌の原因
春は、花粉や紫外線、気温差、生活環境の変化など、複数の刺激が同時に重なる季節です。
特に、3月から4月は肌トラブルの要因が増え、肌にとって負担が積み重なる時期ともいえるでしょう。
花粉・PM2.5・黄砂
3月から4月にかけて、スギやヒノキなど花粉の飛散がピークを迎えます。
加えて、PM2.5や黄砂などの微粒子も増加する時期です。
花粉や黄砂などの微粒子が肌表面に付着すると、角質層に微細な刺激が加わり、肌を守るバリア機能が低下し、肌がより過敏に反応しやすくなります。
さらに、これらの粒子は酸化ストレスを引き起こし、皮膚表面の脂質やタンパク質に影響を与えることで、乾燥や刺激感を助長します。
その結果、
- 赤み
- かゆみ
- 乾燥
- ヒリつき
といった症状が現れやすくなります。
近年では「花粉皮膚炎」という概念も広まり、春特有の皮膚トラブルとして認識されつつあります。
・マスクを着用する
呼気によって湿度が保たれやすくなり、花粉などが肌に付着することを防ぎます。
・こまめな保湿
ミスト化粧水などを携帯し、肌の乾燥を防ぎます。
などの対策を取ることで、肌を守ることができます。
皮脂バランスの乱れ
春は寒暖差が大きく、湿度も安定しません。
朝晩は冷え込み、日中は汗ばむほど暖かい日もあるため、皮脂分泌と水分保持のバランスが崩れやすくなります。
その結果、
- 皮脂が多いのに乾燥する(インナードライ)
- 化粧ノリが悪い
- 肌がゴワつく
といった不安定な状態に陥りやすくなります。
これは、気温変化によって皮脂分泌が増える一方で、角質層の水分保持力が追いつかないことが一因と考えられます。
具体的には、次のようなケアを意識するとよいでしょう。
・洗顔は必要以上に行わない
1日に何度も洗顔を行うと、必要な皮脂まで取り除いてしまい、かえって皮脂分泌が増えてしまうことがあります。
朝晩の基本的な洗顔を丁寧に行うことを意識しましょう。
・乳液やクリームで水分を閉じ込める
インナードライは、肌内部の水分が不足しているため、化粧水で水分を補給した後に油分でフタをすることで、角質層の水分保持を助けることができます。
・保湿成分を意識したスキンケアを選ぶ
セラミドやヒアルロン酸、アミノ酸などの保湿成分は、角質層の水分環境を整えるサポートが期待されます。
こうした成分を取り入れることで、皮脂と水分のバランスを整えやすくなります。
紫外線(UVA)
紫外線量は、3月から急激に増加します。(下記画像参照)
ここでは、春先から増える紫外線「UVA」と「UVB」について解説します。

出典:https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/link_uvindex_month54.html
まず、UVA。
波長が長く、肌の真皮層にまで到達することが特徴です。
真皮には、肌のハリや弾力を支える組織が存在しており、UVAはこれらに影響を与えるため、肌の老化につながる要因のひとつとされています。
また、雲や窓ガラスを通過しやすい性質があり、曇りの日や室内でも一定量が肌に届くことが知られています。
そのため、日差しが強く感じられない日でも、紫外線対策を意識することが重要となります。
次に、UVB(中波長紫外線)。
波長が比較的短く、主に肌の表面(表皮)に影響を与えます。
赤みやヒリつきといった日焼けの原因となるほか、メラニン生成を促し、シミやそばかすの原因となります。
UVBは、雲やガラスによって遮られやすい性質があるため、主に屋外で影響を受けやすいとされています。
紫外線は、天候や季節に関わらず肌へ影響を与える可能性があります。
そのため、春先から日焼け止めを習慣化し、外出時にもこまめに塗り直すことが大切です。
あわせて、帽子や日傘などの物理的な遮光対策を取り入れることで、紫外線による肌への負担を軽減しやすくなります。
ストレスと自律神経の乱れ
春は新生活による環境変化が多く、気づかないうちにストレスを溜め込みやすい時期です。
- 異動や転職
- 引っ越し
- 生活リズムの変化
こうした環境変化は自律神経の乱れに影響を与えます。
自律神経を整えるためには、日常生活の中で意識的に体と心を休めることが大切です。
まず大切なのは、生活リズムを整えることです。
睡眠不足や不規則な生活は自律神経を乱しやすいため、できるだけ就寝・起床時間を揃えるよう心がけましょう。十分な睡眠は、肌のバリア機能の回復にもつながります。
また、軽い運動やリラックスできる時間を作ることも効果的です。
散歩やストレッチ、ぬるめのお風呂にゆっくり入るなど、副交感神経を優位にする習慣を取り入れることで、心身の緊張を和らげることができます。
スキンケアは、肌に負担をかけないシンプルなケアを意識することが大切です。
肌が敏感になりやすい時期は、低刺激で保湿力の高いアイテムを中心に使用し、肌のバリア機能をサポートしましょう。

ゆらぎ肌と敏感肌の違い
ゆらぎ肌は「単に肌が敏感になっているだけではないのか?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
ゆらぎ肌と敏感肌は混同されやすい言葉ですが、厳密には異なります。
◆ 敏感肌
→ 体質的に刺激を感じやすい状態
敏感肌は、もともと肌のバリア機能が弱い、あるいは神経反応が過敏であるなど、体質的な要因が関与していると考えられています。
そのため、季節に関係なく、年間を通して刺激を感じやすい傾向があります。
◆ ゆらぎ肌
→ 一時的に肌が不安定になっている状態
ゆらぎ肌は、花粉や紫外線、寒暖差、ストレスなどの外的・内的要因が重なり、一時的にバリア機能が低下している状態です。
もともとトラブルがなかった肌でも、環境の変化によって敏感な状態に傾くことがあります。
ゆらぎ肌のスキンケア
ゆらぎ肌の時期は、普段よりも肌を守るケアが大切になってきます。
下記のポイントをおさえておきましょう。

特に、保湿は角質層の水分量を保ち、外部刺激から肌を守るための重要なケアです。
化粧水だけで終わらせるのではなく、クリームや乳液で水分の蒸発を防ぐことがポイントになります。
また、洗顔やクレンジングの際に強く擦ることは、バリア機能の低下を招く原因となります。泡で包み込むように洗い、タオルで拭く際も軽く押さえる程度を意識しましょう。
スキンケアは、いつもより「刺激を減らすこと」がゆらぎ肌の時期には重要です。
肌状態が落ち着くまでは、シンプルで継続しやすいケアを選ぶことが望ましいでしょう。
美容医療のアプローチ
まず、スキンケアで肌のバリア機能を整えることが基本となりますが、肌状態によって、美容医療で肌環境を整えることも選択肢の一つです。
当院では、肌状態を見極めながら、刺激をできるだけ抑え、肌環境を整えることを目的とした施術をご提案しています。
ここでは、ゆらぎ肌のケアとして取り入れやすい施術を3つご紹介します。
ケアシス(導入治療)
― 保湿・鎮静を中心に肌コンディションを整える
ケアシスは、保湿成分や鎮静成分を導入することで、肌のコンディションを整えることを目的とした施術です。
ゆらぎ肌は、バリア機能の低下によって水分が逃げやすくなり、外部刺激に対して敏感な状態になっています。
そのため、不足しがちな成分をやさしく補うケアは効果的です。
期待される作用
- 乾燥によるつっぱり感の緩和
- 肌の水分保持のサポート
- 赤みやヒリつきの鎮静ケ
- バリア機能が低下している肌のコンディション調整
ジェネシス
― 肌を穏やかに温めながら環境を整えるレーザー治療
ジェネシスは、肌をやさしく温めながら、肌のキメやコンディションを整えることを目的としたレーザー治療です。
肌が炎症を起こしている時は、血管反応によって赤みなどが生じていることがあります。そのような場合は、表面を傷つけずに穏やかに肌環境を整えるアプローチをするとよいでしょう。
期待される作用
- 赤みの軽減
- 肌のキメを整える
- 皮脂バランスの安定化
- 肌のハリ感低下へのアプローチ
ライムライト
― 色ムラやくすみが気になる「ゆらぎ後」の肌のケア
ライムライトは、日本人の肌質に合わせて設計された光治療機器で、肌全体を整えることを目的とした施術です。
ゆらぎ肌の状態が落ち着いた後、炎症の影響によって肌の色ムラやくすみが目立つことがあります。
肌状態が安定したら、肌全体のトーンを上げる治療をおすすめします。
期待される作用
- くすみや色ムラを整える
- 花粉シーズン後の肌トーン調整
- 肌全体の明るい印象づくり
- 赤みの軽減
ゆらぎ肌に関するよくある質問
ゆらぎ肌については、さまざまなご質問をいただくことがあります。
ここでは、ゆらぎ肌やスキンケアに関してよくある質問をまとめました。
Q. どれくらいの期間続きますか
ゆらぎ肌は、花粉や紫外線、気温差などの環境要因によって一時的に起こることが多く、原因となる刺激が落ち着くと数日~数週間で落ち着くことがほとんどです。
万が一、症状が長引く場合には別の皮膚トラブルを起こしている可能性があるため、皮膚科の受診が望ましい場合もあります。
Q. おすすめの保湿成分
ゆらぎ肌の時期は、肌のバリア機能をサポートする保湿成分を取り入れることが大切です。
特に、セラミド、ヒアルロン酸、アミノ酸などの保湿成分は、角質層の水分保持を助け、乾燥しやすい肌環境を整えるサポートが期待されます。
Q. 避けた方がよいスキンケア
肌が不安定な時期は、刺激の強いスキンケアはなるべく控えましょう。
例えば、
- スクラブ洗顔
- ピーリング
- 高濃度ビタミンC
- アルコール入りのスキンケア製品の使用
などは、刺激になったり、バリア機能を低下させる可能性があります。
肌状態が落ち着くまでは、低刺激かつ保湿中心のケアを心掛けましょう。
Q. 食生活で気をつけること
バランスのよい食事を心がけ、ビタミンやタンパク質を適度に摂取することは、健やかな肌環境を保つためにも重要です。
また、水分をしっかりとることも肌の乾燥対策の一つになります。
Q. メイクをしても大丈夫ですか
ゆらぎ肌の状態でも、刺激が少ない化粧品であればメイクは可能です。
メイクで、直接粒子が肌に付着することを防ぐことができます。
帰宅後はできるだけ早めにメイクを落とし、やさしく洗顔することを心がけましょう。
Q. 新しい化粧品を使っても大丈夫ですか
肌が不安定な時期は、新しい化粧品を取り入れることは避けた方がよいでしょう。
刺激を感じる可能性があるため、まずは保湿を中心としたシンプルなスキンケアを継続することが望ましいと考えられます。
Q. 朝も洗顔料を使うべきか
朝の洗顔は、寝ている間に分泌された皮脂や付着した汚れを落とすためにも行うことが望ましいです。
ただし、ゆらぎ肌の時期は肌が敏感になっている場合があるため、洗浄力の強すぎない洗顔料を使い、やさしく洗うことが大切です。
Q. 皮膚科を受診した方がよいですか
赤みやかゆみが強い場合、症状が長引く場合、化粧品が使えないほど刺激を感じる場合などは、接触皮膚炎や皮膚疾患が隠れている場合もあるため、皮膚科を受診された方がよいでしょう。
Q. 美容施術は控えた方がよい?
施術内容によりますが、肌が不安定な状態のときは、刺激の強い美容施術はできるだけ慎重に検討することが望ましいでしょう。
Q. 運動はしても大丈夫ですか
大丈夫です。適度な運動は血行を促し、ストレスの軽減や自律神経のバランスを整えることにつながります。散歩やストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす習慣は、肌のコンディション維持にも役立ちます。
まとめ
花粉、紫外線、寒暖差、ストレス。
複数の要因が重なることで、春は1年の中でも特に肌が不安定になりやすい時期といえます。
この時期は、
- バリア機能を整える
- 刺激を最小限にする
- 保湿を徹底する
といった「守りのスキンケア」が重要になります。
肌がゆらいでいると感じたら、無理に新しい美容施術を取り入れるのではなく、まずは肌状態を整えることを優先していきましょう。

Dr. PROFILE
佐藤 卓士(さとう たかし)

京都大学農学部卒業 農学修士
九州大学医学部卒業 医学博士
岡山大学医学部付属病院 勤務
杏林大学医学部付属病院 勤務
都立大塚病院形成外科 勤務
2018年 アヴェニュー表参道クリニック 院長就任
日本専門医機構認定形成外科専門医
日本レーザー医学会認定レーザー専門医
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